HUNTER×HUNTER 30

2012/04/04

HUNTER×HUNTER 30 (ジャンプコミックス)
冨樫義博

集英社 2012-04-04

キメラアント編ついに完結！
ほぼ８～９年掛かりになってしまった(ほとんどの期間は休載だったけど)蟻編もようやく完結でここまで長かった。蟻編に入った当初はそれまでに比べて面白くないなどと言われていて自分もそう思っていたけど終盤の物語展開と心理描写は凄まじくストーリーもこういう風に纏めてくるとは。やはりこの作者は少し違うセンスを持っていると感じさせられる。

まさかこういう結末を迎えるとは
元々期待している作品だけどそれをさらに上回る良い意味で斜め上の凄味があったクライマックス展開で、あまり感想もうまく出てこないけど、とにかく凄い作品だなとメルエムの最後の場面などを見ると改めて感じさせられる結末だった。

ミニチュアローズは爆弾に毒の二段構えだったとは。王の力が無敵すぎて決着をつけるならコムギを通じて和解、王はひっそりと隠居するENDくらいしかないかなと思っていたけど、ネテロが見せた人間の悪意の方が王の力よりも更に上回っていたという落とし方にするとは。

和解に近い形ではあるけど予想の範疇には留まらず人間側がきっちりと王を仕留める形で終わるというのが凄い展開だった。最後のメルエムならば本当に人間も含めた世の中を良く導ける王になっていたかもしれない、という変化を徹底的に不条理で矛盾をはらんだ人間と対比させて描ききったのは印象的で、この編には少年漫画ではちょっと考えられないようなテーマと哲学が展開されていてそれを描ききったのが見事だった。

勿論そこは賞賛するだけでなく少年漫画という媒体としてはどうなのかという声があってもおかしくはない。ONE PIECEの尾田氏が王道から逃げないというような事を言っていた覚えがあるけどそれはそれで間違っていない考え方だとも思う。この内容に加え連載も数年単位で空いているし正直今の子供はなにこの漫画？という風にしか思っていないかもしれない。

それらは確かに問題かもしれない。ただ個人的にはそれらを踏まえても一つの作品としてテーマも物語も先を全く読ませない発想もこの漫画は抜けたものを持っている、そういう風に感じる。とにかく凄味のある物語を見せてくれて長かったけど満足できる蟻編ラストだった！

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カテゴリ:.感想系記事　漫画

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＞正直今の子供はなにこの漫画？という風にしか思っていないかもしれない

確かに昔からのファンに絶賛されながらも、新しい読者が増えにくい状況みたいです
ワンピースは新しい読者を増やしつつも、魚人島編で昔からのファンに酷評を受けました
良くも悪くも対照的ですね

メルエムは本当に死なせるのが惜しいくらいのキャラに成長してましたね
ネテロに遠まわしに特攻を命じた謎の偉い人たちとの対比がすごいです
実際人間の方が蟻より凶暴で残酷かもしれませんね
メルエムがコムギの腕の中で逝くシーンは、漫画界屈指の名シーンだと思います

2012/04/05(23:16)
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編集

今のジャンプは少し長期連載作品が偏りすぎていると感じますね。人気作品は長すぎてそうでない作品は短すぎる、もう少しバランスが取れると良いのですが。

＞メルエムは本当に死なせるのが惜しいくらいのキャラに成長してましたね

誕生当時を思えば本当にこうなるとは微塵も思いませんでした。

＞ネテロに遠まわしに特攻を命じた謎の偉い人たちとの対比がすごいです
実際人間の方が蟻より凶暴で残酷かもしれませんね

あの人間と蟻の対比は響きましたね。冨樫義博さんはレベルＥでも遊白でも人間の残酷な一面を宇宙人や妖怪と対比させることをしていましたがその集大成となったように思います。

＞メルエムがコムギの腕の中で逝くシーンは、漫画界屈指の名シーンだと思います

真っ暗なセリフだけの駒であれだけ重みを感じさせるのは凄いです。やはりこの漫画は素晴らしい作品だと思います。