アスラクライン
- 2009/06/26
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夏目智春はごく平凡な少年、のように見えるが実は幼馴染の美少女幽霊に憑かれていた。幽霊に取り憑かれていても平凡な日常を送る智春だったが、高校入学の直前に家に来訪した謎の女に説明もなく奇妙なトランクを渡される。それから運命の歯車が回りだし・・・
原作のラノベを先行する形で見たアニメ作品としてはこれが初めて。ということで文章の作品がどのようにアニメーションになるのかが楽しみでもあり、原作読者はアニメ作品の描写不足に不満を持つころが多いらしいので不安を覚えつつもあり、そんな状況で見た本作。
結果としてはその双方を体感した。まず前者としてはバトルシーンであったり、アスラクラインの魔力の循環などもアニメーションならではの臨場感があってよかった。
それと朱浬・紫浬・瑶の話や哀音がベリアルドールになる描写など原作にはない部分もあって、原作読者としては原作の補完として楽しむことができた部分もあった。
終盤の哀音の話も原作よりも長く尺を取っていたので最終話のシーンもより深いものとなったし、最後の2話の哀音と佐伯に関する描写に関しては満足のいくデキだったと思う。
ただ、11話の隠し芸大会はいらなかったと思うし、イグナイターの登場方法についてもふざけすぎで、後にイグナイター本来の意味を知る時にはマイナス印象になるとしか思えない。
と、ここまではポジティブな部分について書いてきたけど、
このアニメに関してはネガティブな感想の部分が圧倒的に多かったのも事実。
まず第一に最初に操緒が幽霊として付いている理由を端折っていること。この部分は大事だったと思う。ヒカルの碁で言えば一話からいきなりサイが憑いていて何の説明もないレベル。
ある意味それはそれで気になって惹きつけるのかもしれないけど、導入部でキャラに興味を持ってもらう段階では智春と操緒の境遇はしっかりと描くべき部分だったと思う。
それから、元々原作は智春の一人称で進むので智春が内面で感じたことが主文になるわけだけど、アニメでは主人公のモノローグばかりやっているわけにもいかないので当然それがほとんどなく。
それ自体はいいけど原作にあった主文の部分が抜けるわけだから、それに変わる表現で物語の流れを見せていかないといけないのに、このアニメはその部分がスッポリと抜け落ちていて、主文のない小説というか。だから各描写や展開が淡々として軽い印象を受けた。
それから元々難しい世界観の作品で変わった用語が多く出てくるけど、それについての出し方と説明が下手だった。最終回の『エクスハンドラー』の出し方を見ても、とりあえず名前だけ出しとけばいい程度のやっつけとしか思えない。またアスラマキーナの各機が持つ特有の能力についても上記した智春の独白による説明がないので分かりづらい。
それと一番気になっていたのは智春の兄の夏目直貴についての描き方。自分は原作一巻を読んだ時に世界観と謎めいた直貴の陰謀のような部分に惹かれたわけだけど、アニメ版の作りはその直貴の謎に惹かれるようにできていなかった。上記した操緒の事についてもそうだけど最低限端折ってはいけない部分を端折ってしまったのがその原因だと思う。
一応アニメは分割で2クールらしいのでここまででは判断できないということもあるけど、今期のデキはお世辞にも良かったとは思えない。原作既読者だからこその酷評ともとれるかもしれないけど、自分が原作未読だったらおそらくここまでも見ていなかったかも。
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OP・EDは世界観をよく表現できていたと思う。
主な声優
夏目智春:入野自由 水無神操緒:戸松遥 嵩月奏:野中藍 黒崎朱浬:田中理恵
アニア:矢作紗友里 樋口:下野紘 佐伯玲士郎:森久保祥太郎 哀音:佐藤聡美
真日和:間島淳司 六夏:喜多村英梨 加賀篝:中井和哉 橘高冬琉:甲斐田裕子
声優についてはラノベ先行の自分も適当に考えていたけど、実際にアニメになって演技を聞くと、流石はプロがオーディションで実際に声を聞いて割り当てた配役だなと感心した。
唯一自分の割り当てと同じだった操緒役の戸松さんは想像通りにフィットしていたと思う。
奏役の野中藍さんの配役は特に良く、「あー・・・」などの特有のセリフも期待以上。
佐伯兄の森久保さんも固さとギャグ要員的な天然さのギャップがよく出ていた演技。
哀音役のしゅがりんの機械音声のミステリアスな雰囲気も癖になりそうで良かった!
唯一気になったのは冬琉会長の声がイメージよりも低かったところかな。
ここに関しては自分が適当に当てはめていた小林ゆうさんの方がフィットしそうな気もする。
個人的なこのアニメの評価 E
問題点は多いけどBGM演出や声優の演技は良かったし、原作にはない描写なども挿入してアニメならではのよさも垣間見えた。2期は厳しいとは思うけど、個人的には原作ではここ以降が本当に面白い展開だと思うので、どうか巧く作って欲しい。
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