迷路館の殺人
- 2011/05/06
![]() | 迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫) (2009/11/13) 綾辻 行人 商品詳細を見る |
今回に関してはトリックについて気になるところがないこともなかったけどこの作者の持ち味の伏線を散りばめた上での最後のドンデン返しや意外性の仕掛けはいつも以上に満載で面白かった。続きはバレありの簡単な感想。
今回の話は誰にでも犯行が可能という状況がずーっと続いていて犯人がかなり絞り辛かった。終盤の四枚目のフロッピーの内容を見て犯人は宮垣なんだろうとは思ったけどそれもある意味フェイクだったわけで、鮫島についての細かい描写がキーになっていたけど愚かにもそれはほとんど流してしまっていたので作中メッセージには全然気付けなかった。
少々不満だったのはトリックに中村の館の隠し通路が使われた点で、隠し通路がトリックのメインになっていたというところはあまり好みではなかったかな。別にアンフェアだとかは思わないけど今回はあまりにも使い勝手が良すぎる反則的レベルだったので。あとは行方不明になった執事の捜索状況とか各キャラの行動だとか、揚げ足取りではないけどいつもの作品と比べてもストーリー面でちょっと強引なところはあったと思う。
でも巧妙に伏線を散りばめた上で明かされるドンデン返しや最後の最後で鹿谷が島田自身だったということが明かされる部分の衝撃などが非常に良くできた作品で、作中で編集者キャラの言及でもでてきたけどちょっと強引でも意外性などにおいて心を納得させてくれればそれは大きな魅力なのでこの作品はそういう面白さは十分だったと思う。
しかし最初に読んだ水車・人形は比較的解けたのにその後の十角・迷路では完敗に近い形でだんだん戦績が悪くなってきたな。伏線がかなり多いのでちょっとでも読み流し気味にしてしまうと出し抜かれる。現在犯人を解き明かしたという点では2勝2敗。もう一冊館シリーズを所持しているので次回で解ければ綾辻氏の作品はラストにするかも。
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