『アニ☆ブロのほん いっさつめ!』
- 2011/08/20

『アニ☆ブロのほん いっさつめ!』
感想系合同ブログのアニ☆ブロぶろぐさんがC80で出展された同人誌を読んだので簡単な全体的感想を。こういうのは書いていいのかなとも少し迷ったところだけど馴染みのメンバーの方に書いてくださいと何度も言われ、ブログの方も確認されているようなので(笑)
一通り目を通させていただいたのですが記事作成の都合上、又いくつかは帰りの電車で読み終えてしまったなどのタイムラグもあったりで個別テーマへの記述は少しだけになります。
<全体を通して>
正直もう少し軽めな内容で纏める(甘く見ているというわけではなく)と思っていたので当日この本を手に取った時にぎっしりと詰まった内容を見た時には驚かされた。一人一人が己の選択したテーマについて書き込んだ内容は読み応え十分で、その作品や場面についてこういう見方・考え方・発想ができるのかと新たな発見に繋がるようなことが多かった。
一つのテーマを掘り下げて考えを深めていきかつ文章化して他人に伝えるというのはなかなかできることではない(それはこんなブログの管理人をやっている自分自身が一番よく分かるのだがw)ので、各考えを読みながらいろいろと感心させられたものだった。
個人的なこの本の楽しみ方としてはその分野について考え込まれた文章を読んで、なるほどと共感しつつ既存のものから今までの自分にはなかった考え方をその筆者から補ったり、また読みながらただ素直に受け取るだけではなく「この主張に関しては自分はこう思う」と異なる自身の考えを展開し本と対談するような形で自分の個々の作品やアニメに対する考えを整理することで自身のアニメ感、考えというものも再認識できたと思う。
もっちーさんがアニメと自己啓発性の親和について書かれていたけど、この本を読んで自分はまさに自己啓発、とまではいかないかもしれないけどそれに準ずることをしたのではないかと。そんなこんなでいろいろな考え方を得、また整理する良い機会となった。
個人的にこの同人誌で一番良いと思った部分は、テーマ性が伸び伸びとしていること。もっと内容を絞ったほうがいい、ストイックなほうがいい、という意見もあるだろうけど敢えて絞らないことでいろいろな角度からの楽しさが垣間見えたし(例えばアニメとの付き合い方に触れているものもあれば自分とその作品の歴史を書いているものもある)、
なによりテーマも書き方も自由でそのテーマについて書きたいという筆者の意思が伝わってくるような雰囲気が好きだった。夏休みの読書感想文は無理やり図書指定されて書けといわれて書いても楽しいものにはならないものだけど、この会誌からはその逆のポジティブさを感じた(例えが悪いかなw)。また散りばめてあるイラストもそれを助けていたと思う。
あとこれはアニプレッションさんの方を見て思ったことだけど、こちらにはメンバーの合同パート、例えば対談みたいなものが無かったので折角の合同誌なのだしそういうものが入ったほうが面白いかもしれない。ただアニ☆ブロに関してはそれは定例会CDという専門のものも出しているので会誌に入れるとくどい可能性もあるし、そのあたりはなんとも言えない。
という感じで、やや仰々しく書きましたが堅くはならず気楽に楽しく読ませていただきました。話を聞くとこの本は数ヶ月前から製作していて、同人誌製作に関してはアニ☆ブロ発足よりも前から計画されていたとか。一冊の本に仕上がるまでに大変な苦労があったかとは思いますが、無事このような素晴らしい内容に仕上がりましたことをお祝い申し上げます。
<部分的な感想:イラストについて>
表紙は表の色彩は目を惹いたし裏のSDほむらの表情も味があって好きだった。描き手のえみえみさんのSD絵は珍しく初めて見たかもしれないけど好きな雰囲気だなと。是非ともあのキャラを描いてみて欲しいと機会があったらお願いしたい。ちなみに現地では見本表紙でもう一回り大きいものがあって、表絵はそのサイズの方が見栄えが良く現地で見た人の特権と言えるかもしれない。
それから途中のwendyさんのあずにゃんに目が惹かれて、それで次は隣に書かれていたしろくろさんの文章を読むかと決定したのでしろくろさんは良い場所に当ったなとw あときーこーひーさんの漫画『アッカニーン』はなんだか妙にインパクトがあって、最初のページの4コマまでの流れがシュールで好きだったwというかタイトルからなんぞこれとw
あと空子さんのメンマ4コマは和む絵だった。他もみんな生き生きしているイラストを描かれていてオリジナルの構図で楽しげなキャラを描ける腕が羨ましい。ちなみにアニ☆ブロの方のアンケートではイラストを増やすべきか減らすべきかの二択だったと思うけど個人的にはこれくらいのバランスがいいかと。いやもう少しなら増えたほうがいいかな?中間くらいに休憩所的なコーナーがあるといいかも。
<個々記事について少しだけ>
※記事化作業量の都合で本当に僅かしか触れられませんがご了承を^^;
それから若干の内容ネタバレ含みますのでご注意を
LIVさんのタイバニ記事とイサナさんのアザゼルさん記事、自分はそれらの作品を見ていないのだけど「その作品がどうして人気なのか」というのはそういう作品程気になるものでそれらについて分かり易く、分析された内容が書かれていて参考になった。
・腐女子のハートを完全ホールド!『TIGER & BUNNY』の魅力とは
特にLIVさんの記事「腐女子のハートを完全ホールド!『TIGER & BUNNY』の魅力とは」は自分が純情ロマンチカや世界一初恋で持っていた知識と絡めつつ、LLIVさんの熱い情熱と冷静な分析が融合した文章に惹きこまれた。男性向け同人誌と女性向け同人誌の傾向の違いから見る男女間の認識の違い、また現代BLの本流など、自分も普段から感じていることから知らないトレンドまで一つ一つの要素を挙げられていて凄く説得力を感じた。
実は自分はタイバニはここで初めてキャラ名や関係を知ったのだけどワイルドタイガーの説明が入った後にバーナビーの説明が入ると確かにこれはキター!と感じさせる物でもありw 言うなればロマンチカのテロリスト組をベースに誕生日プレゼントが「俺」という世界一初恋の羽鳥さん、さらにバーナビーは高野さん+ヒロさんや律っちゃん的素質もある感じで、大人気BL作品で使われている萌え要素(?)のようなものがこのタイバニには存在するらしい。
そしてそれだけの良い要素を纏めているのであればこれは強い!逆に言えばそれらの特徴を各組に散りばめて同時進行で描くという中村春菊先生も凄いということになるがw それらの要素を持ちつつも明確なBLではなくあくまで妄想させるものという点も大きいのだろう。例えば百合に置き換えても濃厚すぎるものよりも妄想させるくらいのものが人気があったりするので。そのあたりもファン数の多さと関係がありそう。
と少し話がそれたけど、その他のシチュエーションを聞いてもこれは確かに一部の女性視聴者層に評判が良いだろうなと納得がいくもので、読む前は「なんで女性に人気なんだろう?」と漠然と持っていた疑問についての答えが分かった気がする。 それにしても"なぜか上半身裸"からの文章内容には笑ったw
今更だけど面白そうだなータイバニ。ということで全く知らなかった自分にとって良い情報になりました。ちなみにこの記事を読むと男性視聴者からの意見や見所紹介も聞きたくなってくる。タイバニは男性にも人気の作品で全く別の角度の魅力もつまっているのだろう。
・『放浪息子』における二鳥のゆくえ――感情のメタファーから心情を探る
のんたんさんの記事。ここでは当時放浪息子を視聴していた時に自分に無かった視点を補完することができた。自分は放浪息子は劇中における淡い色使いの作画もキャラクターの中性的な髪型や顔なども「性の像をぼかす」ための演出だと考えていた(詳しくは当時の感想で、書いてあったっけ;)。実際にそういう意味はあったとも思う。
ただこの記事では作品中の標識から小物までの色使いを徹底的に見ていて、例えばOPの男女のトイレの標識、それからキャラクターの所持するハンカチやスリッパの色、それらは明確に男女の色で区別されていて「性の像をはっきりと示す」演出が常にあったという。
それらは自分は完全に見落としていたのだけど、つまりこの作品は"常に性の像をぼかす半面で絶対的な摂理として描いていた"という面があったようで。それらの同時演出には一種の残酷さも感じれば、逆にそれを悟って乗り越えたラストの爽快感にも繋がるようでもあり、なんとも面白い演出だなと自分の持っていなかった情報を加えることで新たに発見できた。
実は各論の感想はもう一つ書いたのですが、少し意見が纏まらずに長々と書いた挙句消しました。おそらくそこが自分の立場と主張を一番意識した部分だったかもしれません(笑)
他にもいろいろなことを考えさせられる文章ばかりで、アニメ業界の流れに触れていて勉強になるものから見事な流れと構成だなというものまで多々。それらについては今後個別で触れさせていただくこともあるかもしれませんが、とりあえず今回はこのくらいで。
改めて製作お疲れ様でした。
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