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輪るピングドラム

輪るピングドラム 1(期間限定版) [Blu-ray]
生存戦略、しましょうか


最近よく見るアニメとは別質なタイプの作品だった。序盤こそは苹果のデスティニー描写がくどくて飽きかけていたのだけど中盤以降の明かされていく真実と物語展開、それから独特な演出や作品テーマが醸しだす雰囲気がとても面白かった。

あの迫力は製作者の思想や理念のようなものが込められたこの作品だからこそ出たもので、少し前に最近のアニメはコピー作品だらけで荒廃しているというようなアニメーターの論評を見たけど、それも全面的に賛同はせねどこのアニメを見れば分かる気はする。この作品には良くも悪くも製作者の思想が根強く生き付いていて他作品にはない凄味があった。

なので最終回も含めて自分の頭では追いきれなかった部分も多かったけど独特な雰囲気に魅せられて最後まで楽しむことができた。そしてそれを支えたのが演出の巧さで、メインキャラクターの心情を表わす分身として使われたペンギン演出は凄いセンスだったと思う。

そんな演出こそが一番の強みでそこが面白い部分なのだけど、このアニメでは演出が行き過ぎて冷めてしまうということも個人的には多々あって。それが序盤の苹果のデスティニー、ゆりさんのミュージカル、そして真砂子回のフグ演出だった。

特に最後の演出は・・・桃果の過去の真相が明かされた話で凄く面白いと感じてこのアニメへの熱が本格的に上がり始めた次の話で演出過剰なおふざけ回がきたのでそこでまた気持ちが離れてしまったという(笑) あの回がなければもっとのめり込んだだろうなと。

そんなこんなでマイナスもあったけど総じて見れば当然プラスで演出があったからこそ最後まで見れたことは間違いない。3号のキュッ♪キュッ♪というのが可愛くて好きだった。

作品で多用されたメタファーについてはいろいろ考察しなければならないとは思うけどここで纏めるのは大変なので省略。眞悧の事や最終回の冠葉や晶馬の牢獄場面の「現実世界での実態(現実では何が起こっていたのか)」については気になるところ。

ただこの作品は現実とメタ世界の線引きがほとんどない感じでもあるので比喩表現というよりもメタの世界はメタの世界で完結しているという感覚もある。要はメタ表現で伝えたいことは思想や生じた結果のみであってそこで現実で何が起こったのかということは考える意味がないという感じかな。ゆりの過去なども正確には虐待があったのだろうけど「親からの愛が無かった」という結果だけを見ればいいのだろうと。

最後について解釈すると冠葉が晶馬に愛・運命(ピングドラム)を与えたから晶馬が生き延びた、晶馬が陽毬にその愛を与えたから陽毬が生き延びた、陽毬が冠葉に愛を与えたから冠葉が生き延びた、それで「廻るピングドラム」なのかなと。

生存戦略とはそんな”愛の回収””運命の回収”という感じか。苹果や多蕗達は三人の運命に関わる外部要因、そして三兄妹はそれぞれの愛に関わる内部要因、それら全てが合わさってピングドラムの回収が成就されると。詳しくは分からないけどそんな纏めで。

輪るピングドラム 3(期間限定版) [Blu-ray]
OP「ノルニル」 OP2「少年よ我に帰れ」 ED各話


<主な声優>
高倉冠葉:木村昴 高倉晶馬:木村良平 高倉陽毬:荒川美穂
荻野目苹果:三宅麻理恵 多蕗桂樹:石田彰 時籠ゆり:能登麻美子
夏芽真砂子:堀江由衣 荻野目桃果:豊崎愛生 渡瀬眞悧:小泉豊

冠葉役の木村さんは序盤はなぜこの配役wと思ってたけど終盤は慣れてきて少年演技にしても巧くなってきたと感じた。陽毬役の荒川さんはペンギン女王モードでの安定しない「生存戦略、しましょうか」はなんだか癖になる感じだったw

多蕗の石田さんは本性を表した時にまた石田さんキャラはこうなるのかwと思った。
この人こういう役多すぎだろ(ノ∀`)

眞悧の小泉さんの声が実に面白いフィット感で「痺れるねぇ」は最高だったw
他にも「嫌だわ早く擂り潰さないと」など台詞演出も面白い作品だったな。


個人的なこのアニメの評価 B-

似たタイプの作品が多い昨今では珍しい個性満載な野心作だった。上記したように他作品にない凄みを感じまた一つ多用なアニメの面白さを学んだ気がする。解釈とメタ演出に対して少し付いていけない部分もあったので自分の中でもう少し作品に対する理解力と教養、それから製作者の思想に対する共感があればもっとのめり込んだかもしれない。
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コメント

この俺が貴様を絶望の淵へブチ込んでやる、J・ガイル

途中から見るのが疲れて、最後まで追い切れてないですが、

>似たタイプの作品が多い昨今では珍しい個性満載な野心作だった。
ある意味で賛成できるんだけど、個性的というか、どちらかというと。。。奇抜?

他との差別化のために奇抜な言動、奇抜なキャラクター、奇抜なストーリーを出して、知名度だけは上がったけれど、最後はどんどんなんの脈絡もない奇妙奇天烈な展開になっていって、話の展開に飛躍が多くなりすぎて、「夢オチ」とは逆の形でストーリー展開を読むのが逆につまんなくなりました。

そういう意味では、ある意味で「AGEシステム」のような。「なんでそこでドッズライフル?」「なんでそこでタイタス?ビームラリアットってwww」「なんでドッズライフル量産しねえの?」「もうウルフさんとGエグゼスだけでいいよ」みたいなツッコミばかりじゃ
「両手とも右腕の男のスタンドは光のスタンド!恐ろしいスピードだから狙って斬るのは不可能だが、移動中の軌道が読めればそれを斬ることは可能!」「オレは自分の弱点はとっくに知ってたさ。これだけ沢山の人間がいれば、軌道は読めまい。」「ポルナレフ そのセリフはちがうぞ。あだを討つ時というのは『野郎』なんてセリフを吐くもんじゃあない。こう言うんだ」みたいな、「その手があったか!」的な爽快感がないのです。

>他との差別化のために奇抜な言動、奇抜なキャラクター、奇抜なストーリーを出して、知名度だけは上がったけれど、最後はどんどんなんの脈絡もない奇妙奇天烈な展開になっていって、話の展開に飛躍が多くなりすぎて、「夢オチ」とは逆の形でストーリー展開を読むのが逆につまんなくなりました。

自分も普段からそういうことはよく考えますし分かります。ただこの作品は差別化のためにというよりは監督の思想がこれそのものというか話題を作るためではなくやりたいことをやっていただけにも感じます。飛躍が多くなりすぎという部分は同感ですが。主にメタと比喩で。

>みたいな、「その手があったか!」的な爽快感がないのです。

たしかにそういう面もありますが、自分は過去のももかの真実が明かされる話では、はっそうだったのかとそういう爽快感を受けましたし、毎回考察している人はもっとでしょうし視点次第ではなかな爽快感もある作品ではないかとは思います。

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