劇場版 ガールズ&パンツァー
- 2016/09/27
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劇場版 ガールズ&パンツァー 感想
おおおおおおおおおおおおお
凄まじく面白かった( ;゚Д゚) 正直最初の四十分くらいは演出的な凄さは感じても唐突な親善試合に廃校展開の焼き増しと展開的な面白さはそれ程感じずこれが本当にあそこまでの評価の映画なのかと少しだけ疑問を持ったりもしたのだけど中盤以降のこれまでにこの作品が培ってきた全てのものが集約された内容が本当に面白くてその肉付けがシンプルなストーリーにも大きな感情移入をさせてまさに圧巻の出来だった。
文科省の役人を上手い具合に悪党に仕立て上げて実力条件共に大洗女子学園が絶体絶命な状況の中でライバルだった各校の仲間達がオールスターチームを結成して助太刀してくれる場面の盛り上がりは最高だった。それぞれ個性が強いので一チーム一チームの参入にユニークさがあったし何よりも真っ先にお姉ちゃんが駆けつけてくれたところに感動したw
劇場版で新登場(のはず)の謎めいた実力を秘めていそうな新キャラの助っ人もどれだけの実力を持っているのだろうとわくわくさせたし、何よりそのキャラ達が圧倒的には活躍しすぎず割りと早い段階で活躍をみせつつ退場して見せ場はみほ達に譲っていたところが構成として良かったと感じる。
実力派揃いの高校生チームだけどそれでも相手の方が地力で勝ることで試合には常に良い緊張感があって天才率いる大学生選抜と裏で手を引く汚い大人による秘密兵器などを組み合わせた敵方の強さも申し分なかった。新参のキャラ達なので強さに説得力を持たせることが必要だったけどそこを”大学生”というカテゴリーにしたあたりが地味に上手かった。それから憎まれ役はあくまで文科省の役人が買うという形も。
そしてやはりガルパンと言えば試合の描写こそが最大の売りの作品だけどそれに関しては細かいところは挙げきれないだろうというくらい見所しかなかったし個性の強いオールスター軍団それぞれの活躍っぷりに今までになかった西住殿が大部隊を指揮して小部隊にもそれぞれのまとめ役がいるという全体の構図も面白かった。
演出的には音の臨場感が特に目立った印象がある、音を重視した上映があったというのも頷けるこだわりようだった。映像的には迷路で逃げるアンコウチームの戦車が敵の戦車をじわじわと引き離していくところの引いたカメラ構図などが地味だけど良くできているなと感じた。そういう細かいところの積み重ねがあれだけ長い試合の面白さを引き出していたと思う。
それからバトルの中でも各チームごとのちょっとした台詞の掛け合いを常に忘れないところが面白くチハタンチームもいい味を出していたし特にアンツィオ組の行動と台詞がいちいち面白かった。「ヘイタクシー」とかw あと隠れ身の術みたいなことをしていたチームがマクドナルドの隠れ蓑で「それはない」と見破られて落とされた場面は笑った。
掛け合いといえばバトル以外の場面でも華さんが沙織に対して「彼氏いたことありませんよね」とか「(免許証の写真が)”無駄に”気合が入っていますね」とか地味に辛辣なことを言っていたのが印象的だったw
試合のクライマックスで両チームが息もつかせないペースで次々に脱落していく激戦は圧巻。ダージリンさんの散り際も格好良かった。最終決戦のみほとまほの連携攻撃も見物。この二人の直接の連携を最後に残すところが味。クマが決め手になるということは意味深に映された瞬間に予想がついたけど予想できるように丁寧に描写していた証拠でもある。
今回のライバルの愛里寿ちゃんはもう少し掘り下げがあってもよかったかもしれないけどそれはこの映画の中でなくてもいいことか。廃校阻止はアニメでもやったのでこの映画はそのドラマ性よりもこれまでのライバルが仲間として集いドリームチームを作って戦うこと、それからみほとまほの関係性の補完をすることがメインだったように思う。
終わってみれば半分以上試合をしていた感じでこんなに長く試合描写があると思っていなかったけどそこを全場面見せ場にして退屈させない演出力と脚本の掛け合いの上手さが凄く、その上まさに劇場版にふさわしい大規模で豪華で今までの総決算な内容にもなっていて素晴らしい仕上がりの映画だった。