【PCゲーム】 穢翼のユースティア
- 2016/11/09

穢翼のユースティア
Augustの本気、八月の奇跡と名高い穢翼のユースティアをプレイ。オーガストはどちらかと言えば学園萌え系のイメージがあって、FORTUNE ARTERIALのtrueルートなどはなかなか良く作ってあったけどそれともまた一線を画した世界観とストーリー性で事前に評判を聞きつつもこれがオーガストなのかとそれまでを考えると驚くくらいの徹底した作風だった。
これは素晴らしい出来栄え
物語・テーマ性・キャラクターがどこを取っても無駄なく上手く絡みあっていて見事な完成度の作品だった。そして何よりそれらを取り巻くオリジナルな世界観が徹底的に作りこまれていることで作品への没入度は非常に高く進むに連れてどんどん面白くなっていくストーリーと相俟って中盤以降は止め所がなくプレーを切るのが一苦労だった。
物語は各編毎のテーマ性も面白いけど主人公のカイムがだんだん上の層に進んで新しい世界が見えていく流れと少しずつ紐解かれていく謎という要素が大きく惹き込んだと思うのでやはり設定と概要の世界観形勢が特に鍵になっていたと感じる。
このノーヴァス・アイテルの世界観とそれに関する様々な描写・演出・設定の作りこみは今までプレーしてきた作品郡の中でも際立ったレベルにあったと思うし物語と世界観に没入したいという人にはお勧めできる作品。
雰囲気的なことを言うと一つ一つのキャラクターの掛け合いが本当に良くできていたと感じて様々な立場や主義のキャラが入り乱れるけどその都度やり取りが良く練りこまれていた。
物語は導入部から面白くはあったけど特に惹き込まれていったのが第三章からでそこと第四章の盛り上がりが一番凄かった。第三章の聖女の式典からの崩落の展開と演出は劇中のカイムとリンクしてプレイヤーにも激動を与える臨場感があったと思う。
あの場面はイレーヌの式典で良い方向に向かうかもと希望を与えてからの崩落という絶望的な落とし、娼館街が無事だったと思わせたところからのヴィノレタの崩落と上げて落とすを繰り返す激動の波が凄かった。そしてそれまでレギュラーとして絡んでいて主人公にとっては母親と恋人を兼ねていたようなメルトがあまりにもあっさりと死に際も見られないまま消えてしまったところがこの世界観への臨場感をさらに際立たせていた。
キャラクターの絡み、伏線回収も見事で本当に全キャラが上手く絡み合って活躍していた。そんな感じでほぼ満足している非常に完成度の高い作品ではあったけど尻上りで面白くなっていった中で最後の第五章には少し引っかかるところもあったかなというのも本音。
終わり方自体は完全なハッピーではないにしてもあれでいいと思うもののその過程の描写に関して最終章だけは演出的な物足らなさを感じた。クライマックスの特に盛り上げるべき場面でどこかあっさりしているというか、その割には途中までくどく感じる会話もあったりで、そのあたりのペース配分や演出の強弱が最終章だけ物足らなく感じた。
最終章のカイムの葛藤や頼りなさは物語の流れや構成的に分かるけどその苦しみの長さに対して立ち直ってからの展開で得られるカタルシスが及ばなかったのかもしれない。
例えばカイムが立ち直る局面はジークやコレットと対峙させてそこで気持ちの整理をつけてティアのためにお前達を見捨てるくらいの台詞を言わせるとか。その二人とは最後まで絡みがなかったしそうすれば二人が劇中でカイムを見直す機会にもなるので。
あとはシスティナの最後の戦闘とか、カイムの説得と平行して天使の怒りが都市を破壊していく絶望の様子をリシア達の視点で描くとか、そういう全体の臨場感をより引き立てる演出がクライマックスにはもう少しほしかった。まぁでも逆に静かであっさりしていたからこそもはや終末に向かうだけの都市の悲壮感と絶望感はよりあったのかもしれない。
エロに関してはあまり強さを感じないけどじゃあなくていいのかと言うと第三章と第五章あたりはあった方がキャラ感情の深みを出す上でも良かったと思うのでそれも必要な要素かも。ただそれをメインとして求めるならその点はそれ程強くない作品だとは思う。
ヒロインは公式投票の結果を見るとメインの中では一番人気が下みたいだけど聖女イレーヌことコレットが気に入って負けず嫌いですぐに拗ねたり無理に強がってふんとなるところが好きだった。ラヴィリアも好きだったしだからこその第三章の惹き込まれかもしれない。
ティアは初期から見ていて和むキャラ。「ひどいです」が好き。でも物語的に可愛いというより尊いという感情が強いかも。リシアは人気投票No,1のようだけどやはりルートも評価されているのかな、あとリシアは表情描写などが一番オーガストっぽいキャラだなとも感じた。
フィオネは明確な描写はなかったけど終盤のやり取りを見るとカイムへの誤解は解けたと見ていいのかな、できれば明確な描写が欲しかった。コレットもそうだけど対立したようになってその後のやり取りなく終わってしまうところがあったのでそのあたりが一本ルートの難点かもしれない。その点エリスは最終章でのやり取りは良かった。
最後にまとめとして、物語・テーマ性・キャラクター・舞台がこれだけ見事に絡み合った作品は他になかなか思い当たらないし中盤以降は止められず一気にやってしまうくらい没入できたので本当に面白い良くできた作品だったと思う。後からやっているので八月の奇跡と言われていることも知っていたけどそれも納得の素晴らしい完成度で今のところ自分がAugustでやった作品では文句なくトップかな。良いストーリーを作れる製作会社。
![]() | 穢翼のユースティア 初回版 オーガスト 2011-04-28 |