【PCゲーム】 アマツツミ 感想
- 2017/04/04

アマツツミ (Purple software)
昨年(2016)のゲームの中でもシナリオの評判は高いとよく目にしていたので体験版をやってみたら丁度他ゲームの影響で気になっていた秋野花さんの演じるキャラクターこころちゃんが可愛くストーリーとその見せ方による惹き付けも良さそうだということで製品を購入。パープルソフトウェアの作品はこれが初めてだけどその感触やいかに。

ブラボー!おおブラボー!
いやー面白かった!こころちゃんゲームとして買ったけど終わってみれば完全にほたるのためのゲームだった。それまでの各ルートの出来はそれぞれ悪くないけど特別と言うほどでもなかった、しかしそれは独特のルート派生構成も各編の内容の積み重ねも全て最終のほたるルートに集約されるようにできていたためでそれだけにほたる編の面白さは抜けていた。
なので仮にほたるにヒロインとして興味が持てないと一気に凡作以下という評価にもなってしまいそうな諸刃の剣的な面もあったと思うけど、こころ目当てで初めた個人的にもほたるはそのキャラに全然負けないくらいの魅力的なキャラに物語を通じて育っていったので最終編では感情移入もできてヒロインの魅力も感じつつ楽しむことができた。
この作品は共通ルートで全ヒロインとの肉体関係を持つという特殊性があったけど、そういう通常の作品とは大きく異なる共通ルートの幅の使い方が斬新で「ここまでメインシナリオに入るのか」というような普通なら個別に入ってからやるような範囲まで共通として含まれそれが最後のシナリオの軸にもなってきて各編の連動が非常に深いところが面白かった。
だからこそ上記したようなほたるが気に入らなければ他編にも不満が連動するという脆さもはらんでいると思うし複数のヒロインと関係を持つ主人公を許せないという感想も出てくるのではないかと思うけど個人的には問題なかったし全体の構成の斬新さは面白いという感覚の方が勝った。
ほたるの謎という要素は核心に迫りそうな情報を初期から小出しにしてきたのである程度予想がついたけどそれでもやはりミステリアスで惹き付ける魅力があって各編でほたるが絡んでくると一気に面白くなったし何よりもこの作品は展開を見せる上での雰囲気の演出が抜群に上手かったのでその迫力にどこまでも退屈しなかった。
ほたる編は最初の分岐の方はウエディングほたるのシーンが最高に可愛かったし作品の纏まりとしても綺麗だと思うけど作品の最後が主人公が消えてほたるが残されるあの終わり方だと喪失感も大きかったと思うのでそこから新たにトゥルーというよりハッピーENDみたいな分岐ができたのが良かった。
ちなみに最初から分岐があったとしてもプレイしながらもう片方が気になって仕方なかったと思うし分岐2の展開への納得も分岐1の情報を見てからこそだとも思うのであの出し方はよかった。分岐2で運命を分けたあの蛍が消えた誠だとかそういう解釈もあるのかも。
分岐後編で上手かったのはオリジナルが接すれば接するほど「ほたる」だと感じられるようになるところであのオリジナルにもほたるを救いたいというそれまでの感情移入が乗るところが作りとして良かったなと。エピローグの統合後のほたるが「玉子焼きときんぴらごぼう」をリクエストしていたところもオリジナルの面影を感じさせて地味に良かった部分。
しかしエピローグ2でほたるは誠が処女を奪ったのが3回と言っていたけどオリジナルのそれも含めば4回ではとそこだけはライターのミスなのではないかと感じた。
ストーリーも面白かったけどほたる編は単純にほたるの可愛さも光ってだからこそ入れ込める内容でもあった。普段のキャラに対して恋愛面で攻められると弱いその様子、誠からストレートに攻められて慌てふためくその可愛さが実に良かった。普段はおどけて見せるほたるがえっち関連になると弱くなりそれができなくなる様子も可愛い。
ほたるCV小倉結衣さんはほたるというキャラの素の部分も演技の部分も上手く雰囲気をつけていたしオリジナルとの演じ分けも見事で素晴らしい演技だった。

こころちゃん!!
ほたるも良かったけどやっぱりこころちゃんが強かったゲームでもあってそのキャラクターとCVが演じるなんともいえないほんわか甘い雰囲気が凄まじい破壊力だった。
誠くんから兄さんな関係にしてしまったのはちょっと勿体無いんじゃないかと初期に思ったこともあったけど妹キャラだからこその葛藤と発想の突飛さと狂おしいくらいの一途な愛が表現されていて良かった。言霊という外付け設定と元々の性格という内部設定、その二つが噛み合って生まれた各描写の珍妙かつ絶妙なズレと可愛らしさがインパクト抜群。
好きなシーンは抱きつかれて「なんで抱きついたの!?」と涙目で恥らうところやいい雰囲気になった時に横槍が入って「ひゃーん××」となる定番のパターンや夢の内容を追求されて「そんなことはいいのー!」と怒ったところなど。響子編や愛編でもシーンが入ったり最終章のエピローグでも口にキスしていたりと最後まで危うさを残していたところも印象的。
こころちゃんは最初に誠を拾わなければあずきさんもほたるも失って誠や愛とも家族になれずどうなってしまったのか、それこそオリジナルほたるのように塞ぎ込んでしまったかもしれないしその運命の分岐は大きかったなと改めて。

作品そのものがほたる編のための作りではあったけどそれまでの他三編が悪いかと言うとそうでもなくそこまでも各編なかなか読み応えがあって楽しめたので、世界観の作り方とキャラクターの魅力とシナリオの良さと総合的に力のあった良い作品だったと思う。
それからエロシーンもかなり強かった印象もあり、キャラ目当て良しエロ目当て良しシナリオ目当て良し主題歌良しとこのメーカーの作品は初プレイながら好印象が残った。