【PCゲーム】 アオイトリ 感想
- 2017/12/26

アオイトリ (Purple software)
2017年最後にプレーしたPCゲームはPurple softwareのアオイトリ。偶然にも今年一番最初にプレーを始めたのが同会社の前作アマツツミ。そしてアマツツミ最初のルートであるこころとアオイトリ最終ルートのあかりが同じCV秋野花さんだったので奇しくもパープルで始まりパープルで終わる、秋野花さんで始まり秋野花さんで終わるという年になった。

こ れ は エ ロ い
というのが一番印象的だったゲームでHシーンの描写や演出のこだわりがとにかく凄かった。その点はアマツツミでも感じたけどそこから更に正統的に進化したというイメージで、あまり詳しくないのでなんだけど最近のこの業界の中でも際立ったものがあるのではないかな。
メアリーやあかりは期待通りに可愛くて小夜もシナリオの出来含めて予想以上に愛着がもててキャラ萌え面でもポテンシャルの高さを発揮していたのでこれだけ可愛いキャラとあれだけのエロ演出が両立されているのであればそれだけで価値があるレベルと言えそう。
その上でシナリオでも魅せるというのがアマツツミでもお馴染みの最近のパープルの凄み。しかし今作のシナリオは決して悪くはなかったもののシナリオ全体の構造、組み立ての部分でいろいろと詰めの甘さを感じてどうしても物語に引き込みきれずに終わってしまったところがあったようにも思えた。
クライマックスのあかり編も全体を通して救世主の力や悪魔の厄介さ、恐ろしさを具体的に一貫して描けていなかったこととあかりのアオイトリを憎む感情のバックボーンを過去編を入れるなりして納得いくように分かり易くじっくり描かなかったことで展開として理解はできるけどそこに感情がついていききれなかった。
ループ的な構図はどうせならあかりだけは語られないEPも含めて何度もループしているという設定の方が律への愛の深さも悪魔への憎しみも動機として落とし込み易かったと思うけどそれだとあかりが特別な存在になってしまうので根本的に物語が変わってしまう。
悪魔も一方的に残虐で悪役としてヘイトを貯めたほうが読者を感情移入させ易かったと思うけどあのいい加減で不確実なところこそがあの悪魔。だからこそあかりと悪魔の対峙する最終局面はシンプルに感情が乗り難い構図になったのでそこで感情移入させるにはそこに至るまでの組み立てにあと一工夫も二工夫も必要だったのではないかと。
メアリー編は劇の練習が中心という流れがあまり好みでなかったとの恋愛感情の発展と物語の解決が曖昧に感じた。まぁメアリーが可愛かったのでそれだけでもいいのだけど。赤錆姉妹編は絵師とライターも違ったのか他編とはテイストが違った上にトゥルー編の内容にもほとんど関わっていないので完全にオマケのようなものだった。
小夜編は出来が良くクライマックスの物語に引き込まれる焦燥感や迫力は前作アマツツミのほたる編で感じたものに近かった気がしてこのルートが一番この会社の良いところが出ていたのではないかな。トゥルー編での救いもありその繋がりも良くできていた。
音楽とCGクオリティは流石のもの。OPは歌に演出含めてそれだけで名作感が漂い期待値を上げる。CGはどれもいいけど夜桜を使った構図が特に映えていてメアリー初登場の美しさなどが印象的。あとあかりのメイド服でのまど拭きが好き。
CVはメアリー役のくすはらゆいさんはやはりこういう明るいマスコット的なキャラクターは強いなと日常シーンで抜群の安定感を発揮していた。
あかり役の秋野花さんは本性との声色の演じ分けが凄かった、また日常シーンから醸し出すあかりのそそられるエロさの演出も素晴らしい。
小夜役の鈴谷さんはしゅがてんとましまろで聴いた雰囲気とは全然違ってこんな声色も使えるのかと、悪戯に仕掛けてくるシーンの可愛さと妖艶さが合わさった雰囲気が好きだった。

前作であるアマツツミを超えるという目標を公式サイトで公言していたけど、総合的に見ると前作の方が物語構成の噛み合いの良さで上回っていたと思う。
しかし今作もキャラ力では決して負けていないしエロ力も増していたのでメーカーとしての強みは進化していたと見れるしそういう意味では上回ったとも言えるのかも。
今は何か特化したものがなければ厳しい時代、シナリオゲーで映像音楽可愛さエロさでこれだけのクオリティを出せるというのは間違いなくこの会社の強みでそれは見せられた。