【PCゲーム】 ソレヨリノ前奏詩 感想
- 2018/05/20

ソレヨリノ前奏詩 (minori)
初minori作品。昨年アニメefを見た後に体験版をプレーしていて気になりつつもその時はなんとなく見送りになったものの今年RIDDLE JOKERをやってその流れで気に入った声優さん繋がりで再浮上し製品版にも手を出したという不思議な経緯でプレイスタート。


ブラボーおおブラボー!
いやー面白かった!物語面では二転三転する展開を上手く交えた心情描写へのアプローチが面白く最後まで退屈させなかったしそれを彩る演出面が抜群に良く世界に没入させた。
そしてなによりメインヒロインの姫野永遠が可愛かった!造詣もCVもキャラも良ければ会社特有の独特な映像演出も相俟ってどんな場面でも見ていて飽きさせず画面に出てくるだけでオーラを感じさせるようなところが強い。
永遠との恋愛は身も蓋もなく表現するとウジウジしてヘタレで根暗で遠回りである意味とんでもなく面倒くさい物語だったと言えるので、このゲームは元にあるのがメインヒロインの永遠(ビジュアル、CV、キャラに対する下心的な感情であるにしろ)に惹かれて感情移入できるかどうかで全てが決まると言ってもいいと思う。
人によっては永遠も終もまったく受け付けないキャラだろうなと思うし自身も永遠が気に入らなければなんだこのヒロインめんどくさすぎとか言っていたと思う。でも今回はプレーのきっかけからほとんど永遠目当てだったのでそれだけでそのどこまでも面倒くさいヒロインを許容できたしその精神像を追っていく物語を楽しめた。
ヒロインが可愛くて好きだから物語を追う気力が沸いてくる、それは一つの物語に臨む動機としては不純かもしれないけど美少女ゲームに臨む動機としてはこれ以上ないくらいに純粋なものともいえるかもしれない。なんにしてもそんな風に前提として作品に惹きつけてくれた永遠というヒロインの存在そのものがなによりも大きかった。
物語と主人公とヒロインの性格についてとんでもなく面倒くさいとネガティブとも取れる表現はしたけどラストに至るまでの紆余曲折に回り道こそがこうした物語の醍醐味だし、様々な展開と交えつつ掴めるようで掴めない各キャラの心情の描き方が巧みで常に先の流れがが気になるようになっていて飽きずにどんどん読み進めることができたのでその回りくどい展開もポジティブに捉えられていた。
今回が初のminori作品でやはり感じたのは演出の凄さ。この業界で演出ならこの会社に任せろと言わんばかりな豊富なCG数を用いた映像演出の数々はまさに圧巻でそれは時折さながら映画を見ているような感覚でもあって見応え抜群だった。
それから声優さんの演技。特に永遠を演じたくすはらゆいさんの演技が抜群に印象に残った。本心では何を思っているのかなかなか分からない永遠だけどちょっとしたリアクションの台詞の感嘆から奥底に見える執着や愛情といったその欠片が伝わってきてそういうのが物語を読む上で重要なアクセントとなっていたし、多数のシチュエーションがありバランスを取るのが難しそうな永遠の演技の抑揚をそのシーンに合わせて見事にこなしきっていた。
最終章で心の壁を破る本音の告白シーンの演技も迫真のもので会社の演出の良さも相俟ってクライマックスにふさわしい素晴らしい出来になっていた。くすはらさんは演技の幅よりも声質の特徴で勝負というタイプと思っていたけど幅の方でも魅せられる才能と努力を持っている方だとこの作品で改めて認識させられた。
くすはらさんの永遠演技が見られただけでもプレイした価値があったと思える。
minoriは演出が良い反面UIは使いづらくバックログからのジャンプがなかったりウインドウを消すにも一手間がいったりと便利な会社の作品に慣れているとそこは物足らないかな。

このゲームで割と衝撃的だったのが永遠ルートの「結婚して」という展開でそこから流れでトントン拍子で事を進めていく永遠のしたたかさ、ツンツンした様子を見せているけど内面では心躍らせながらあんなことをしていると思うとあの流れが面白くて仕方なかった(ノ∀`)
途中で結婚する流れというのは作品によってはあるだろうけどこういうパターンは珍しかったと思うしそこでそう来るかーとかなり予想外だったこともあってインパクトの強い展開だった。
面倒くさい性格だけどこの永遠と即夫婦になれるのが羨ましすぎる。家で制服姿なところもよかったしあのワンピース姿で寛いでいるところもそれだけでグッとくる。永遠になし崩し的に家庭入りされたい!この結婚展開こそが永遠ルートの真髄でもあった。