【PCゲーム】 もののあはれは彩の頃 感想
- 2019/12/08

もののあはれは彩の頃
(QUINCE SOFT 2017)
世界観・伏線・謎解き要素に凝っていた『アメイジング・グレイス』(きゃべつそふと)が面白く、そこで興味を持った同ライターの前作であるこの作品も評判が良さそうだったので続けてプレイ。

かけがえない彩の頃に─
いやー面白かった!キャラクター自身が駒になってあがりを目指す人間双六ゲームでそれ自体なら割とよくありそうな感じでもあるけど、そこにこの作者らしい世界観の謎を絡めることで単調にゲームをしていくというような展開にはならなかったし、なにより双六の一手一手の局面の描き方が面白く続きが気になってプレイの止め所がなくやり応えを感じさせた。

双六は一面の時点ではほどほどだったけど二面はぐんと面白くなり特に琥珀ルートとクレアルートの面はストーリーも駆け引きも最後の一手も非常に面白かった。そして最後面の最終局面に某編に出てきてプレイヤーの印象にも残っていたあのマスの縁を使うというまさかの演出にも痺れた。
琥珀編のラストは大ドンデン返しで、あれが琥珀の正体は○だからそれで察しろで流してしまうとダメなんだけど事前にプレイヤーにもしっかりと”琥珀視点”の回想シーンを描いて見せていたという伏線もあって反則にはならないという推理ものにも則った良い驚きの展開だったと思う。
クレア編の決め手なども、プレイヤーはマスを見た時からある程度先の展開を考えたりもするのだけどギリギリの局面まで来ても尚その一手が見えず新鮮な驚きを与えてくれて楽しめた。琥珀編のもそうだけどこのライターは少々力技ではあっても必ず新鮮な驚きを読者に与えてくれることが持ち味だとアメグレを見ても感じる。

それぞれのキャラクターやその縁も良くできていてその掛け合いや因縁が物語の魅力を引き立てた。大誠とか黎が最初に出てきた時には「なんだ男かいらな(ry」なんて思ってしまうプレイヤーもけっこう多いんじゃないかと思うけど最後までやるとあの男達もあってこその作品だったとちゃんと思えるようにもなっていてそのあたりも強い部分。
特にクレア編と琥珀編が面白かったのでそのルートのボスになっていたカラスと黎はそこで良い強キャラ感を出していた。クレア編でカラスが鹿乃縁に仕掛ける展開は盛り上がったし最後に「俺の名を呼べや阿呆どもひはははは」と勝利BGMに合わせて爽快に消えていくシーンも好きだった(笑)
琥珀編で黎がサイコロの法則を見出したところも全く予想がつかない仕掛けで凄かった。黎は天才キャラな割に最後はあまり役に立たなかったなという印象も強いけどそこを思い出すとやっぱり凄いやつだったのだとは思う。でも「僕の暁」宣言はなんだったのかと未だに。あそこがいろんな意味で黎さんのピーク(ノ∀`)


クレアアアアアア!ヒロインはクレアが良かった(・∀・) あかりで一緒に歴史を調べる時の距離感とか記憶が戻った後に否定はするものの暁への好意を隠しきれず激しく動揺する様などが可愛かった。CV橘まおさんの雰囲気も良かった。あとクレア・コートニー・クレアという名前の響きが。
みさきは最初一番好きだったけど有能キャラすぎてだんだんかわいさよりもしたたかさの方が印象が強くなっていったような気がする。くっ、最初に衣服脱ぐべしで全部脱いでくれればそこで勝負あったかもしれないのに…!(ぇ
京楓ルートとはなんだったのか。いやまぁヒロイン的にはけっこう美味しい立場だったとは思うけど(笑) 暁の立場なら京楓一筋になっていてもおかしくはない程。クライマックスの回想や活躍を除くと風呂での遭遇と「これが私の作る本物のかき氷だぁ!」の印象ばかりw
BGM演出も良かった作品でそれが各局面を盛り上げた。好きな曲を5つ挙げると『兆』(戦闘・緊迫)、『禍事』(危機)、『鬼一口』(戦闘シリアス)、『軍立ち』(反撃)、『風林火山』(勝利・処刑用)。特にMAPで新たな局面を見ながら『兆』が流れている時などが好きだった。主題歌もラスボス処刑シーンで流れた時にはその一手の躍動感と共に場面に映えていた。
(おまけ:気になった部分を適当に考察など)
①カラスはなぜ黎を巻き込んだ
たぶん明かされていなかったはず(?)。想像でしかないけど外部からあの世界に入る術を行うために必要な行為だったから。死にかける黎の魂に自身の魂の一部をしがみ付かせて一緒に入ってきたみたいな感じなのかな。
②琥珀が瀕死になった理由
人間時の姿的に老衰とは考えにくいので劇中で言及があった通り交通事故にあった、もしくは暁たちが服毒された現場に実は居て巻き込まれた。たしか学校に来ていたこともあったはず。
③暁の能力を欲したラスボスの目的は?
縁の複合使用。(ハンターハンターのGI編でリスキーダイスとその他カードとのコンボというのがあるけどそれと似たような感じで)まず暁の縁で大吉を出してその後他の縁を使用すると効力が限界を超えて発揮されるというような。それでもそこまでこだわる理由ではなさそうなので能力そのものよりも暁の人生観察とそれを自らの手で崩壊させること自体が主要な目的だったと言えるかも。
④ラスボス登場時のBGM(笑)
なんであそこが『♪風林火山』だったのかw 鬼一口とかもっと物々しい曲を使えばよかった気がするんだけど爽快なBGMと共に登場して笑ってしまった(ノ∀`)
ラスボスにトドメを刺した一手の内容も鮮烈だったけどあのボスの消え去り方もなんとも哀愁があるというか、あのあっさりさが逆にインパクトになって強く残っている気がする。
