【PCゲーム】 喫茶ステラと死神の蝶④ ~明月栞那編~ 感想
- 2019/12/30

喫茶ステラと死神の蝶④ ~栞那編~
涼音に続き四人目の攻略は栞那。センターヒロインなので最初か最後に置くのが定石ながらここ。最近思うのは五人制ヒロインの四番目は地味に重要な役割なのではないかと。要は一番だれて集中力が切れやすいのでそこにシナリオ要素的にも注目のヒロインを持ってきてみるかという意図もあった。



これは良い読了感の物語!
良いメインシナリオだった。ゆずはシナリオ面ではだいたいどのルートでもあとちょっとかゆいところに手が届かないんだよなーみたいなもどかしさを覚えるものが多くて感想を書いていても何かしら注文をつけたくなってしまうものが多いけど、このルートの読了感は個人的に好きで今までにプレイしたゆず作品の中でも1~2番なのではないかと素直に思えた。
勿論ご都合主義や説明不足に構成の面など気になる部分があったことはあった。例えば栞那が復活して人間に転生する展開は中盤で一気に終えてしまって、そこまでの栞那への想いの貯めも解決の展開の説得力も十分とは言えなかったのでそこをサノバウィッチみたいな構成で最後まで引っ張って掘り下げればもっと良くなったのではと途中の段階では思ったりもした。
栞那は消えた後に主人公の重荷にならないように身体を許せないという思惑があったので別れるまでの期間にその関係性を深めきれない。これがHシーンのない美少女ゲームならデートを含むイベントを重ねたりしてその尺を作れたのだろうけど、このジャンルで本番シーンを省くことはできないしアフターだけに詰め込むというのも好ましくない。と中盤で一気に解決した構成にはジャンルと設定的な泣き所があるように感じられた。
栞那がいなくなってからの時間は演出などを含めて胸を打つ展開だと感じさせられただけにそんな構成面が惜しい、もっと良くできそうな話なのにな、とその段階では少しもどかしくも感じられた。
ただこのルートが強かったのはその解決後にイチャラブをするだけではなくそこからもう一つの重要な流れが組まれている二段構成になっていたこと。そして後半の家族としての幸せを築いていき本当の意味での昂晴や栞那の願いが叶うという展開は作品の題材にも共通ルートから描かれてきたキャラクター達の描写や関係性的にも納得できる形で上手くまとめられていて非常に良いものだった。
昂晴の父親は最初は要るのかななんて思っていたけど語られた過去やどこまでも不器用ながらも確かにそこに愛があったと分かり蟠りが解ける終盤の展開が良く、最後に家族としてみんなで笑いあっている輪の中にいるところは深みを演出した。あとミカドが祖父としてまんざらでもなさそうに一緒にいるところも良かった。
そういった物語の良さは途中までの展開のみを軸にしていく形では出せなかったのでこの二段構成は良かった。まあ人によっては前半後半でどっちつかずだから片方に絞って掘り下げた方がと感じる構成でもあるとは思うけど。前者メインだとサノバ風、後者メインだとクラナド風というイメージかな?
尺が好きなだけ使えるのだったら栞那が消えるまでで一旦区切って後半はトゥルー√という形で新たにタイトルからスタートするようにしてボリュームを増して描くのもよかったかもしれない。しかしそれだとサノバの焼き増し的に思われそうなのでそれを避けるためにこういう構成にしたところもあったのかなと。
なんにしても個人的には途中までうーんちょっともったいないなーと思っていたところから終盤でもう一山作ってジーンとさせてくれたこのルートは気に入っていい話だったなと思えた。あとミユちゃんが反則的に可愛いんだけど( ;゚Д゚)こぶいち氏のロリキャラももっと見てみたい。



栞那さんの安定の色情淫乱娘っぷりw
「自分でもわけのわからないことを口走って、セックスセックスって叫んでしまう始末でして」「それはほんとうにわけがわからんな」とうミカドさんとのやり取りは笑った。SDキャラでコタツの机をバンバン叩くのがあったけどリドルの七海の餃子の時みたいに絵に合わせてバックで効果音がなり続けるところが面白いw

栞那のツッコミw
一晩寝たら回復した(精力が)という主人公に対しての栞那のそんなロールプレイングゲームみたいなことが!?というつっこみ方に笑った。アールピージーじゃなくわざわざそう言っていたところもいいw

タマリマセンワー
よりにもよって車の人のヒロインのルートでこのネタやっていいのかよと(ノ∀`)


……ジー……
ゆずソフト恒例のジト目台詞キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
いつもは共通ルートの序盤から出てくるけど今回はなかなか見かけなかった気がして、あったとしても…の数が違うジーであったりでここにきてようやく本場のが来たかという感覚w

孤高の撃墜王ナツメさん
主人公と一緒にいるところを大家さんに見られて彼氏さん?と聞かれたのをいい笑顔で即答で否定するナツメがよかった。大家さんは照れ隠しだろうと勝手に迷惑な解釈をしたようで別れ際にもそれっぽいことを言ってきたけどそれにも全く同じように対応するナツメw


全員揃っての台詞がいい(・∀・)
このルートはこういう演出が多かった気がするけど複数ヒロインの声を合わせた台詞というのも良いもので次々にお気に入りボイスに入れたくなる。あと今作はキャプチャー機能にツイッター投稿がどうこうというボタンがあったので時期的にも是非これを使ってくださいというような意図もあるのかな。


それ、お肉♪お肉♪お肉♪お肉♪お肉♪
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
このシーンが最高に楽しかった!仲間たちとの楽しい時間、栞那の心を揺さぶるフラグイベントの一つではあるけど栞那だけじゃなくプレイヤーとしてもこういう空間を見せてもらえるとこのゲームをしていて楽しいという気持ちが沸き上がるもので世界観やキャラクター達との絆により一層惹き込まれる。
今作で強いと思うところは狭い職場が舞台の中心なので比較的ヒロイン同士の距離感も近くこういう仲良しな掛け合いを自然に見せられるところ。前作はスパイや秘密といった個々を分断する要素が強くその面は若干弱さがあったのでよりそれを感じるのかもしれない。
ここはみんなの合わせ台詞もいいけどSD絵も凄く楽しい雰囲気を出していて特に涼音さんや栞那の表情が良い味を出している。このルートはゆずらしいキャラのワンポイントの見せ場が多かった印象もあってお気に入りボイスとキャプチャーも一番多くなったのでそのあたりのバランスも良かったと思う。

ということで楽しめた点が多かった栞那ルートだった。内容を見ると攻略順としては最初よりは最後推奨かな。個人的には四番目になったけど、物語のピークはこことして一旦満足して残りはヒロイン100%で楽しんでいくというスタンスを取れるのでこれもけっこういい舵取りたったんじゃないかと。