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【PCゲーム】 景の海のアペイリア 感想

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景の海のアペイリア
(SILKY'S PLUS DOLCE 2017)


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アペイリア景を繋いで─


ブラボー!おおブラボー!!
いやー面白かった!作品を通して描かれる大きな謎、予想のつかない一手一手の局面の進行、作り込まれたSFの理論と世界観といった要素が重なり合いガッツリ作品にのめり込ませてくれた。

謎解きとSF理論の部分も面白いけど中でも際立ったと感じるのは局面の進行の面白さで、割と有り勝ちなテーマや世界観に見えるかもしれないけど読んでいてマンネリや退屈を覚える展開はほとんどなく、え、ここでこうくるのか、というような意表をつかれる情報や二転三転する展開が絶え間なく散りばめられていて進めば進むほど面白くなり止めどころがを見つけるのが難しかった。(特に体験版以降が)


推理面では予想が当たった核心部はあるけれど、その答えの出てくるまさに一文前まで上下左右前後あらゆる角度から情報の揺さぶりをかけられて「あ、やばいやっぱりあっちだったかな…」と推理が揺らされたので当たってもほーれみろぉという感覚はなく、あーくそやっぱりそっちじゃないかとやられたような感覚になり、そんなミステリの醍醐味のドンデン返し感を味わうこともできた。

ミスリードさせる情報量が本当に圧倒的かつ展開の仕掛けと進行の予想のつかなさがプレイヤーの推理を揺さぶり続けたゲームで、このゲームで最初から最後まで自信をもって一本の推理を貫けた人はそう多くないのではないかなと、仮に仮設があっても常に揺さぶられる、そんな推理要素が実に面白かった。


世界観にSF理論も読み応えがあって楽しませてくれた。その部分はプレイヤーによってはライターが見識を披露したいだけだろと捉えて退屈だと感じるとも思うけど、個人的にはむしろそれを物語に乗せて最後まで描ききるという物書きのプライドというか熱意の方を強く感じてそこもポジティブに楽しめた。

知識としてあの理論があってもそれをああいう形で物語に乗せるというのは並大抵のことではなく、よく途中で投げ出さなかったなと、このライターは変態だとちょっとした狂気すら感じさせる部分でもあった。(変態といえばそもそものバトルパートもあの有様なので変態なのは間違いなかったw)

物語を描き切ったとは書いたけど最後の部分だけは若干投げた感もあり、単純に尺が足りなかったという可能性も高いけど、プレイヤー各々の解釈に任せるというのではなくもう少しでいいので描写を深めて情報を出してほしかったなと。


下ネタ溢れるバトルや設定に関して、個人的に普段はそこまで好きな方ではないかもしれないけどこの作品のそれは想像以上に楽しめた。

単純に笑えるネタもあれば物語上での緩急の役目としても大きかったと感じ、例えば主人公の零一は相当頭が切れて思考も回る男だったけどあれで下ネタがなければ単なる完璧超人系で角が立つというか、劇中に溢れる長々とした理論の解説やその超理解力などと相まって馴染めない主人公になっていた気がするし物語自体への印象も大きく変わっていた気もする。

しかしあの強烈な下ネタがあったおかげであれだけ天才的だった零一ながらアホな印象も強く残り、それが作品とキャラクターへの良い意味でのくだけた愛着をもたせ、あれだけの長い理論説明を入れても意識高い系作品みたいな敬遠感をもたせない効果があったと思う。あとは下ネタ関連が意外と重要な伏線っぽくなっているところもあったのでやはりあれはあれで外せないキー要素だった。

下ネタで印象深いのは「動くな、童貞だ」とか、「─なに?」といちいちそれに真面目なリアクションを取っていたシンカーなど。あと序盤の卑猥なホールアーマーネタで零一が至って真面目にあれを選んでいたところが好き。七海たちの前で「これが見たいんだろう?」と話が噛み合わないところなども笑った。

酷い戦闘構図のはずなんだけど終盤ではもう慣れてしまっていて展開の面白さも相まって普通に格好よいと錯覚させるのもこの作品の凄いところ。イニーツィオ・デッロ・スペッターコロ!とつい言いたくなる不思議な魔力。零一の声は初めての時はこれ要るのかなと思ったけどあってよかった。


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キャラは零一&ヒロインズも良かったけどなによりもシンカーが一番印象に残った。

序盤から常に付きまとう敵としての厄介さ、ダウト対決の緊張感やセカンド内のエンクロージャーに先回りされた時のやばいという危機感が画面越しにも伝わるようなそのプレッシャーなどがよかった。そしてなんと言ってもクライマックスのあのシーンは劇中最高の名場面だと思う。

シンカーのデザイア詠唱、通常この手のゲームの終盤になると同じような技のセリフ音声はクリックで飛ばしてしまうことが多いけどこれはなぜだか飛ばせず毎回聞いてしまった。エルピス!


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※強いネタバレ含む感想
そもそも未プレイヤーはここまで読んでいないだろうけど、ここから下は核心部も触れるので注意を。



上でも書いたけど本当に推理を揺らしてミスリードさせるのが上手い作品で相当揺さぶられた。実を言うとシンカーの正体とセカンドに対する現世界の構造というのは当てずっぽうではあるけど体験版時点で予想していたことが当たった。しかし確信を持った予想ではなかったので劇中で何度も揺さぶられ結果ブレまくってしまったので負け(笑)

特にシンカー=空観という推理に予想以上に揺らされて、体験版の時点からそれはあまりに安直だからまず絶対にないと思うところだけどだからこそやってくるのではないかとどこまでも可能性が捨てられなかった。シンカーの正体が分かるほんの一文前でも、あれやっぱそっち?とぐらつかせるような、ブックマンの正体を明かした後でなおそう思わせる情報のノイズが本当に厄介で面白かった。

途中で八千代が出てきたり久遠が狙われないという話が出てきた時には零一と久遠の子供などがシンカーなのではと疑ったこともあったし、とにかく場面場面で出てくる情報でその都度新たな可能性を考えさせられる、そんなところが良くできていて飽きさせないゲーム。

久遠といえば一人だけOPの出番があからさまに少なかったので裏の顔がある=黒幕という可能性を考え、二回目の世界で零一を後ろから刺したのも実は街の牢屋から移動していなかった久遠なのではないかと疑ったりもした。あの時点ではサードを使ったトリックの予想はほぼつかないということもあったので。

裏の顔といえば、観測者の正体が美羽というのも全く予想していなかった。美羽は体験版の時点から嫌いです!が好きだったので最後の最後であの設定が出てきたのはちょっとしたショック、というのは余談として完全にノーマークだったので伏線はもう一度やらないと思い返すこともできない。

ブックマンの正体も完全に予想外。そもそもブックマンは正体以前に黒幕だろうとかそういう予想もしたことがないので騙されてはいないといえばそうだけど。ただブックマンの正体が空観と考えると最初のバトルでアレを出して戦っていたのが…ということになるけど、それがこのゲームで一番無茶というか矛盾する点だったんじゃないか(ノ∀`)



タイムリープものとしての独特なプレイヤーに流れる劇中時間の感覚というものもまた味わい深く、ましろ編でドラゴンに乗るシーンなどは同じ時間なのに今までにはない角度の新たな攻略が増えていくことに不思議な高揚感を覚えたし、そこで流れるいつものフィールド冒険BGMがもう聞きなれたものになっていてワクワクというよりは懐かしさと共に焦燥感を覚え、別の時間軸の同じ時間に聞いた時とは全く違う感覚を味わうことになりそれが印象深かった。



最後のシーンの解釈は、現実世界に出たはずの零一たちなのに観測する何者かの存在がありその構造とは、それはプレイヤーに「現実だと思っているあなたの世界も何者かに観測されている仮想世界かもよ?」と語りかけるよくある映画のエピローグ的な茶目っ気という感じなのか。

もしくは無限の可能性という波が存在した零一達の物語は書き手の采配一つで結末およびその道中に無限の選択肢と分岐があったけど、このような結末をプレイヤーに観測されたことでひとまずの区切りとし確定させ終わりとなりますよと、所謂「FIN」の記号を表しているのではないかと。

どっちにしても純粋な劇中世界における意味深なラストシーンというよりは製作陣が画面越しのプレイヤーに語り掛けるメタ的な演出という意図と解釈した。
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