天晴爛漫! 10話時点の感想
- 2020/09/05
天晴爛漫!感想 (10話時点)
厳しめの感想なので注意。見てて思うところがあり周りはどういう感想なんだろうと気になるも、もう感想を書いているブログはほとんどなくまとめなどは基本見ないのでじゃあ自分で書くかということで。
一話感想で書いたけどこのアニメは土台の部分としては面白そうな要素があったし内容によっては名作になるのではと思っていて実際入りも悪くなく序盤は普通に面白かった。ただそれはあくまでレースが始まるまでで肝心のレースが始まってからは一気にしぼんでしまった。
こういう題材にも関わらずあまりにもレース部分を描かなすぎでこじんまりとした人間ドラマに終始している感が否めず、当初PAにしては冒険したなと感じたこの題材にした意味も異国での大陸横断レースというスケールの大きな舞台観にした意味もほとんど感じられなかった。
特に第一レースではがっかりしてそこでああ、これは…という感じになった。これは大陸横断レースなので綺麗なレース展開よりもむしろサバイバルの様相が強くになったり時には戦闘になって横道に逸れることは予想できるし理解できる。
しかしそれでも第一レースに限っては全員が同時にスタートして特徴や駆け引きを描くにはこの上ない舞台なのでそこでは絶対に視聴者が惹きつけられるような正統なレース模様とキャラ魅せをしなければならなかった。なのに特に目を惹く駆け引きもなければレース中の順位変動演出や実況演出なども微妙なままにAパートだけでサラっと終わってしまってあ、これレースで魅せる気ないなと。
その後も各チェックポイント毎の順位やタイム差や総合順位など現在のレース状況が全く分からず(もしかしたら公式サイトなどを見れば載っていたりするのかもしれないけど)、それが分からなければレース中の描写と展開への感情移入なども当然なく最新話で全員が一緒に走っているあたりも全てが茶番と慣れ合いに見えてしまう。
メカニック要素の方も微妙で、本来なら盛り上がるべきマシンが進化していくという要素もほとんど天晴が裏で無言で作業しているだけで淡々と進行し、レースの中で苦戦しギリギリの戦いの中アイディアを得ていくという過程などもないので特に盛り上がらなかった。
まあそのあたりは1クールという無謀とも言える尺の短さからそうせざるをえなかったのかもしれない。普通に考えるとこの題材でその尺は無理だし、最初の四話くらいまでは適度な尺の使い方ができていてマシン完成まではそれなりのカタルシスがあった気もするので、尺さえ使えればそのあたりでも見せ場はつくれたのかも。
しかしレースやメカニック部分に割く尺がないのならホトトの復讐劇とかはいらないよなと。レースが始まってからもほとんどそこに尺を割いていたのが疑問。まあこのアニメは最初からレースはおまけであくまでそれに連なる人間ドラマをやりたいんですよという感じなんだろうからホトトこそ描きたいものなのだろうけど。
それから主人公天晴のキャラがブレすぎ。ホトトを待つという選択をしたあたりからおかしいと感じた。あれだけ傍若無人に振る舞っていて科学への探求を家族よりも優先する合理主義者の天晴があそこでホトトに感情移入する要素がどこにあったのか。アメリカに来てから人との触れ合いを通じて変わってきた的なことは小雨目線で描いたけどその理由や過程の部分の描写と尺が弱すぎてそこに納得がいかなかった。
ブレた結果強キャラ感もなくなり魅力のないキャラになり、その変わっていく過程の物語をこれまでにメインとして描いていれば今の人間的になった天晴というのはそれはそれで魅力的だったのだろうけど、そこに充てるべき尺をほぼホトトで使ってしまったのでこの天晴の急な変化が凄く微妙に映った。小雨が死にそうなシーンでその名を叫ぶべき絆が一番深いのは天晴ではなくホトトの方だと思うけどそこでホトトの台詞はないというチグハグさ。
最新話で津田さんがいろいろぶっ壊していってレースも完全終了。ここまで真面目にレース展開を描いていたら心底うんざりする展開でふざけんな!と制作にキレていた可能性があるけど、もともとレースがどうなっているか全然分からなかったのでそのあたりはまあ…。最後はマシンを更に改造して全員で共闘してファイナルフォーメーションだ!と列車ごと津田さんを吹き飛ばしてゴールするのかな。
そんな感じで当初期待があっただけにレースがスタートして以降のこのアニメにはがっかりした。まあもともとは2クールだと思っていたし、この題材で1クールという尺では最初から無理だったとも思うのでそこに関しては配慮するべき余地はあるかもしれない。
ひとつ気になっているのは一話で姉が渡したお守り、あれが終盤の重要なアイテムになると思っていたけどその伏線は回収されるのかなと。