プリンセス・プリンシパル
- 2020/12/09

プリンセス・プリンシパル (2017)

ブラボー!おおブラボー!今更になって全話見たけど非常に面白いアニメだった。世界観・物語・キャラ・スパイアクション・ギミック・機転、どこを取っても良くできていて見れば見るほど作品に惹き込まれる。
直前に良作だったウマ娘を全話見たばかりで若干食傷気味で見始めた本作だったけど、膨れた腹にも関わらずまったく止まることがなく自然に話を咀嚼して次々に箸が進んでいく、そんな真に美味しい食べ物は自然に口へ喉へと運ばれるのだというような真に面白いアニメ感がこの作品にはあった。
世界観は王道ながらケイバーライトを用いた独自性が現実感よりもファンタジー感をより際立たせてわくわくさせるものになっている。そしてそれを彩る背景、建物・車・街並みなどの作画の良さも雰囲気を引き出した。作画面はたまにキャラの顔で力が抜けるタイミングがあったなとは感じたけど全体的に良い仕事をしていて流石Studio 3Hzだなと。
物語面はまず各話完結的な話がどれも面白くつまらない回というのがなかった。任務の描き方・人物の描き方・アクションの爽快感・良い意味でのストーリーの後味の悪さなど一話単位でも良く纏まっている。中でも印象深かったのはドロシーと父親のエピソードと委員長のエピソードあたり。
そして全体を通して描かれるアンジェとプリンセスの物語。こちらも非常に面白く、特に8話で明かされた二人の過去の真相のエピソードはそれによってそれまでの回で見てきた二人の言動に一気に深みが増してくるところや、クライマックスの展開の臨場感を大いに掻き立てるなどまさに要のもので一番印象深い話だった。

世界観と物語の良さもありながらキャラクターが可愛いところも当然強みで、その辺りはリアリティよりも視聴者需要を重視したデザイン性が有能だったと思う。そして可愛いだけではなくキャラ立ちも良くできていてそれぞれが物語の中で魅力的に動いていたところが良かった。
例えばベアトリスはダーティーで厳しく残酷な世界観に合わない性格に風貌で常にわーきゃー言っていたイメージがあるけど、その世界観に合っていないところが良いと個人的には感じて、あのキャラがアンジェやドロシー達と共に行動することでシリアスな世界観・スパイ作戦の中にも良い緩みが生まれていたと思う。
ベアトは序盤の作戦はほぼ担当メンバーと共に参加していて、それは他アニメなら主人公的な動きだと感じたけど、ベアトの目線があるからこそアンジェやドロシー達の住む世界の特殊さやその能力の高さが改めて際立ちそれがスパイ物語の臨場感としてアクセントになる。また戦場に不似合いな弱くてコミカルなベアトの存在があるから、厳しい世界観だけど簡単に味方キャラが死んだりしないだろうという安心感もある。
そんな風に完璧でシリアスなスパイアクションものとしてではなく、これがプリンセス・プリンシパルのスパイアクションだというようなスパイ作品としての個性を出す上でベアトリスの存在が光っていたと感じる。これでベアトが死んだりしたらそれはそれでシビアな作品だとなるけど、そうはしないだろうという安心感があの騒がしく可愛いベアトを見ているとあった。そんな良いお守りマスコットキャラ。
委員長のエピソードで「急に運転を変われって言われても~!」と悲鳴を上げながら車で雪に突っ込んでしまうシーンがあったけどああいうネタで和ませてくれるあたりも好き。

セクシーなドロシーも好き、そのお色気要員っぷりや誰よりも人間味があるところがよかった。いつも年齢ネタで弄られているところもいい。しかし人間味があるということはスパイには向いていないということで、父親や委員長の結末を見ても一番厳しい役回りを押し付けられそうでもある。
アンジェとプリンセスは作品の要なだけにその関係性も二人の性格の根柢の対比も良くできていて面白かった。入れ替わったプリンセスの方が”本物”になったというのも面白いしその胆力は日常シーンでも良い味を出していた。ちせは五右衛門枠、こういう作品で侍がやたら強いのは昔の某泥棒作品の影響か(ノ∀`)
スパイアクション・ギミック・機転。これらも良くできていて、例えるならジョジョの戦闘の機転をキャラの思考や解説なしでテンポ良く繰り出す感じとでも言うか、視聴者が見ながら「おっ」と思わせるギミックや機転を次々に繰り出してくるアクションが爽快感を生んでいてそれが常に飽きさせない要因になっていた。
アクション面だけでなく物語でもそういう風に視聴者をハッとさせる瞬間みたいなものを次々にテンポ良く繰り出してくるので、その辺りで本当に見応えのある演出に物語構成だった。
そんなこんなで見応えのある作品で全く止まることなく一気に駆け抜けさせられてしまった。一気に見るぞと意気込んで臨むのではなく気が付いたら自然に次の話を求めている、それが名作の証か。
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