平気涙が乾いた跡には…
- 2022/10/08

めぞん一刻 (1986)
今年の春に名探偵コナンを見ていたら工藤有希子の声優繋がりでなんとなく見始めてしまっためぞん一刻。アニメ名シーンBESTみたいな企画でプロポーズのところは何度となく見せられているので既に知っているけど本編を見るのはこれが初めて。見せてもらおうか40年近く前のアニメの実力とやらを。

いやー面白かった!
昔のアニメならではの良さとして長い尺をふんだんに使えることでその間の劇中での時間の経過、キャラクターの成長と繰り広げられる人間模様とその積み重ねが上手く描かれていて、それが物語の日常への愛着を生んでいたし何よりもあの素晴らしい終盤の物語性を引き立ててもいた。
これが今の時代に1クール・2クールで描かれていたら世界観への愛着もあのラストにもそれ程の感慨はないだろうし、長編アニメだからこその味を感じさせられる作品だった。
全体的に楽しめたけどラストの三話は本当に良くできていて、自身は一気見で駆け抜けてしまったけどもしもリアルタイムで2年間程追っていてあのラストシーンの演出を見たら感慨で絶対泣くだろうと。
あの有名なプロポーズシーンが最終回なのかと思っていたけどあれは最後から三話目で、その次のおばあちゃんへの報告に行く話と最終回の結婚式前の音無のお父さんとのやり取りなども実に良かった。プロポーズ回の響子父の俺はもう響子を悲しませたくないんだよーというシーンもぐっとくる。
長いアニメなだけに途中のラブコメでgdgdする場面やヘイトが貯まる展開も当然けっこうあって、管理人さん関連のすれ違いの連続やキャバクラでたかられる展開などはあれを当時に一週間間隔で見せられていたらたまらんだろうと。巨人の星の鬱展開の連続なんかもそうで昔のアニメには我慢強さも今以上に必要。
あと良くない点として引っ張りに引っ張ったこずえちゃん関連では五代君がもう少し痛い目を見ないと。最後は向こうも勝手に結婚してお互い様みたいになったけどそこはちょっといい加減だなと。まぁああいう別れもある意味リアルなのかもしれないけど。
キャラクターの成長面は五代君が最初は見ていられないくらいダメダメだったのに少しずつ成長していって立派な男に、逆に最初は完璧に見える管理人さんの方が性格含めていろいろと問題を抱えているのが分かっていくというような二人の立場が逆転していくところが面白かった。
見始める前は管理人さんは完璧な大和撫子キャラなのかなと思っていたけどいざ見てみるとかなり勢いのある性格で驚いた。「この色ガキ!」とか猫のキョーコを探しているシーンの「いますわよ!ここに!!」の迫力などが印象的だったしあの母親(響子母)が出てきた時はやっぱり親子だと笑った。
パっと思いつく印象に残っている好きなエピソードは、海水浴と管理人さんの豪快な運転の話、五代君が田舎から戻ってこず一刻館の皆がイライラする話、惣一朗さんが焼き鳥につられていなくなった話、猫のキョーコを預かる話、期末試験での管理人さんの「私、一年くらい待っても…」という話、八神が管理人さんに「弱虫!」という話、そして当然ラスト三話など。
あの滅茶苦茶な行動の八神が管理人さんに対して正論を言う、朱美さんともそういう関係性があって、それが一番まともな大人に見える管理人さんの弱さや問題を示しているというところも面白かった。
余談ながら、このアニメを見るきっかけにもなった名探偵コナンの工藤新一の両親の声優がこの作品の管理人さんと惣一朗さん(人間)のコンビでかつ工藤優作の名前も五代裕作の下の名前と被っているのでそのキャスティングはここからきているのかなと。
- 関連記事