【PCゲーム】 のーぶる☆わーくす 感想
- 2022/10/19

のーぶる☆わーくす (ゆずソフト2010)
『お嬢様と一緒に暮らすだけの簡単(セレブ)なお仕事です(未経験者可)』
個人的にゆずソフトでは天神以降で唯一抜け落ちていたのーぶる☆をついにプレイ。評価サイトでは同メーカーの中でもあのサノバウィッチに匹敵する特に評価の高い作品で楽しみにしていたけど果たして。






いやー面白かった!
のーぶる☆わーくすはサノバウィッチと同じくらいの評判でそれらがメーカーの2トップ的存在という事前認識だったけどその評判にも納得の面白さで12年前のゲームながら今でも全然色褪せていなかった。
ゆずソフトらしく各ヒロインもそれぞれ良かったけど、このゲームで特に良かったと思うのが主人公のキャラクター、その性格のバランス。歴代ゆず作品の中でもその感覚が特によくできていた。
どちらかと言うと陰の方に寄せる傾向にあるゆず主人公の中ではこの作品の藤島巧はリアクション含めて比較的豪気な陽なところがあった。でも角の立つ陽ではなく決して悪目立ちはしない、かつ神経質ではなくウジウジしない。一方では陰の要素も適度には入っていてそれもギャグ面で生きていた。
この主人公の性格のバランスとヒロイン達の織成す掛け合いの面白さ、主にヒロイン達からの主人公の打たれ具合が非常に安定していて面白い作品だった。キャラゲー寄りのゆずは元々そのあたりが強みだけど、この作品は特にその強みが生かされていた印象がある。
コメディー満載の掛け合いはどの場面も面白いけど特に屋敷内の灯里・瀬奈・茅明との定番のやり取りが好きだった。理不尽と言えば理不尽だけど前述したそれを受け止める匠のキャラクターが安定してそれらのおバカなギャグを楽しませてくれた。

攻略順は静流→ひなた→麻夜→先生→灯里→瀬奈
静流ルートは最初にやったけどこのゲームでも1・2番を争って印象に残ったシナリオで、正体バレ、身分の差、周囲に隠れて逢瀬を続ける背徳感などこのゲームの題材の王道が見事に表現されていて物語面も面白かった。学園を追い出されて土木作業を続けながら正宗家に通い続けるあの空気感がなんとも忘れられない。
そんな雰囲気への浸り、真面目な面白さもあったけど静流のぽんこつなところが妙な掛け合いのズレを生んだギャグ性も印象的なルートで「しーちゃん」と「たーしゃま」のネタも忘れられないw
ひなたと麻夜は一気に続けてやったせいかもしれないけどルートの流れが近すぎないかと感じてこのあたりはちょっと飽きがきたというか他ルートより楽しみが薄かった。あと気になったのは、ひなたの爺さんが劇中とっていた各行動は孫への想いよりもひたすら自分勝手な傲慢さを感じたし、主人公がその会社に入るという強制的な選択も他ルートの自立した決断と比べると気持ちの良いものではなかった。
先生ルートはオマケとはいえあまりにも投げやりすぎw と思ったけどこの時代くらいまでのゲームのサブヒロインはだいたいあんな感じか。天神の3Pルートも凄まじい投げっぱなしなオチだったしw
灯里ルートは静流ルートとはまた違った王道が感じられて面白かった。灯里の出自に関するエピソードに父親との関係も良く描けていた。灯里の恋愛に関する知識などその恋愛コメディーも存分に楽しませてもらった。キス以上のことを知らず同人誌で勉強するあの展開(ノ∀`)
月山瀬奈さんは体験版の時点で一番お目当てのヒロインだったので最後に攻略。個別ルートでは不安定な弱さを見せた瀬奈、夜に抱きしめてくださいとベッドに潜って来たシーンなどが印象的で守りたくなるような、感情移入をさせる物語上での誘導が上手かった。そんな個別でのヒロイン性も良かったし、定番のエロ妄想からの「藤島さん、エッチですよぉ!」なキャラも楽しめた。
あとは茅明さんのキャラも好きで掛け合いが楽しめたのはこの人の存在も大きかった。『黒執事』のネタとかやってたけどそういえばその時代だなとリアルタイムじゃないので凄くなつかしく感じたパロネタ。
三条真琴(CV車の人)は攻略対象ではなかったけどこれがプロトタイプになって次回作のエリナが出来たのだろうと後から見るとそういった意味合いを感じたキャラクター。

ということでのーぶる☆わーくす完了。評判通りの名作で楽しめた。天神から作風が定まって安定したと聞くゆずだけど飛躍したのはこの作品の出来の良さが大きかったのではないかな。今の時代から見てもこういうのでいいんだよという感があり、新作もこのくらいのクオリティでまた出してくれればなと。
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